<< 邪神ちゃんドロップキック | main | スオミさんはお困りです ep.6〔前編〕 >>
2020.04.09 Thursday

ツインスター・サイクロン・ランナウェイ

0

    おはようございます、Ticoさんです。

    昨日は疲れてたためか早めに寝て、ぐっすり快眠できて

    今朝は快調なんでございますが、お肌が乾いておりまして

    「歳をとるってやーねー」と乳液をぬりぬりでございます。

    それはそうと今日も晴れそうですね。またオフトゥンが干せます

     

     

    さて、本日のブログ記事はブックレビューとして、

    小川一水先生の『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ

    をご紹介したいと思います。

     

    000000014480_YAd3DHW.jpg

     

    なんか最近百合ジャンルの開拓にも熱心な早川書房なんですが、

    この作品のキャッチコピーは「ガス惑星巨大ロケット漁業百合」という……

    なんだその「全部載せ盛り盛り欲張りセット」みたいなフレーズ!

     

    さて、あらかじめお断りしておきますと、Ticoのご紹介ブログは

    基本はネタバレ伏せでございますが、この作品を語るときには

    あまりにも尊すぎていろいろ語りたくはあるのですが……

     

    実はネタバレありでOKなら、春花あやさんという方が書かれた

    ツインスター・サイクロン・ランナウェイがあまりにも良い(感想です)

    考察も熱量もテキストもすごくすごい(語彙力ゥ!)ので、

    いまさらTicoが書いてもお茶を濁す程度にしかならん気がしますので、

    なんとか頑張ってネタバレ伏せつつ見どころをお伝えしたいと思います。

     

    picture_pc_c47cbd5bd95057f256858c840eb79c1c.jpg

    【主人公のテラ。背が大きいし胸も大きい、ほんわか系お姉さん】

     

    picture_pc_7cfe325290fe5db4c84ee287cd8a1515.jpg

    【相方になるダイオード。ちっちゃい痩せっぽちで尖った性格です】

     

     

    見どころその1:やはりSF、巨大ガス惑星での迫力満点の宇宙の漁!

     

    さて、Ticoが作品を読みだしたときに「うむ、正しくSFだ!」と思いました

    巨大ガス惑星という「海」で資源獲得のために、「昏魚」という資源の塊の

    宇宙生物みたいなのを漁獲するお話でございます。

    巨大ガス惑星の大気中を宇宙船が飛んでいくって、最高にSFな絵だと思うんですよ。

     

    で、そこでの漁の様子が本当に迫力満点

    「デコンパ」と呼ばれる機関士的存在が船を自在に変形させて、

    「ツイスタ」と呼ばれる操舵士的存在が船を巧みに駆って、

    スケールサイズならおそらくめっちゃでかい昏魚を獲っていきます。

    宇宙漁の様子はSFでありながら海洋ものの迫力があって、読み応え抜群です。

     

    ただ、「デコンパ」は女性が務め、「ツイスタ」は男性が務めて、

    この男女のペアは夫婦でなければいけないという因習

    お話の重要な背景となっています。

     

     

    見どころその2:お互いの技量への尊敬から始まる関係が尊い

     

    ガス惑星で漁をしている人々は移民船団のひとつらしいのですが、

    結局ここに落ち着いて氏族ごとに分かれて生活している、まあぶっちゃけ田舎です。

    ただ、どこか文明の中心地からすごく大きくてきらびやかな交易船が来ることが

    さりげなくかかれていて、「ド田舎」の外には広い世界があることが窺えます。

     

    さて。主人公のテラは、ガス惑星を飛ぶ「礎柱船(ピラーボート)の1隻を所有しているのですが、

    自力でGETしたというより、伝統的に親から受け継ぐようになっています

    あまりにも「デコンパ」としての自分が展開する船の形状が「アレ」すぎて

    相方の男性からことごとくダメ出しされてお見合い失敗している出戻りさん。

     

    このままじゃ船を取り上げられそうなときに、彼女の前に突然現れるのが

    「女だけど自分にツイスタ」をやらせてほしいと息をはずませて声をかけてきた

    やせっぽちでぎらぎらした感じの美少女、ダイオードです。

     

    最初は「まあ、やるだけやってみるか」的な感じで、異例にも異例で、

    女どうしでペアを組んで漁にでてみる二人となります。

    (このあたりは冒頭のリンクから試し読みができます)

     

    結果的に漁はちょっとうまくいかなかったのですが、

    テラはダイオードのすごくエッジな操船にビックリし、

    ダイオードはテラが信じられない船体変形をやってみせるのにビックリし、

    「この子すごい!」となります。

     

    百合の始まり方は何でもいいじゃんとは思うのですが、

    少なくともこの二人については、見た目がどうこうよりも、

    お互いの才能と技量を認めて尊敬できる関係から始まっているあたりが、

    とても良い人間関係のありようだと思うのですよ。

     

     

    見どころその3:このクソッタレな世界で「ただ自分らしくありたい」だけ

     

    さて、お互いの技量を認め合って、二人で宇宙漁をやっちゃおうかとなるのですが、

    そうは問屋がおろさないのが、因習に縛られた船団社会の「常識」による障害です。

     

    伝統的に夫婦である男女がペアで漁をするのが基本、

    それも感情的な女に「ツイスタ」など務まるはずがない、女どうしで漁をするなんて非常識、

    「君たち正気かね?」と良識がことごとく邪魔をしてきます。

    そんな中で透けて見えるのが「男の指示に女は従えばいいんだ」いう、

    なんともやるせない男尊女卑の社会。

     

    それが当たり前だと思っていたテラですが、ダイオードと行動を共にして

    「なんかおかしくない?」と思い始めます。

    いろいろと見てきたダイオードから、もっと女性を侮蔑的に扱ってる氏族もあると聞いて、

    自分が生きてきた世界が「実はクソッタレなのでは?」と思い始めます。

     

    ただ、二人の願いはシンプル。

    テラとダイオードのペアで、礎柱船を飛ばして漁がしたい」だけ。

    ただ、他の人じゃダメなのです。自分の才能を活かしきれるのは、相方に選んだ女の子だけなのです。

    本当に「自分らしくあるために」「だからあなたが必要なの」というところから、

    二人の仲が少しずつ近づいていきます。

     

    礎柱船を取り上げようとする氏族会議の決定に異を唱えて、

    大物獲りの漁で技量勝負をすることになり、ピンチから一発逆転を成し遂げるくだりは

    この作品でも見どころのひとつになっています。

     

     

    見どころその4:そして「やっぱりあなたが好きだから」

     

    百合ではあるんですが、テラとダイオードの作中のふれあいは、

    結構奥手というか、読んでてもどかしい感じです。

    ただ、ちょくちょく入る描写から、少しずつ意識していって、

    距離をおっかなびっくり詰めていく様子は、ためらっているようであり、

    相手を窺っているようであり。

     

    そのあたりのもやもやがクライマックスで爆発します。

    これはもうすごく見どころかつニヤニヤものなので、

    ぜひ作品を読んでいただきたいです。

    お互いに秘めていた感情とか言いたかったことをあらいざらいぶちまけて

    そこで結局、「お互いに確認しちゃう」んですよね。

    「わたしはやっぱりこの子が好きなんだ」と。

    まあ、想いをあらためて確かめる行為はお約束なんですが、

    これがまた尊いので、ぜひ読んでご確認ください。

     

     

    見どころその5:そして最後はちゃんとSFなんですよコレ

     

    お話の最後に明かされる昏魚の正体。

    このあたりの種明かしと謎解きが、なんともSFなのがやはりイイのです。

    もうお分かりですね「お読みになって確かめてください」です。

    なかなかスケールの大きい謎解きになっていて、かなりビックリです。

     

    ETZDcd9U0AAR3Ez.jpg

    表紙絵を描かれた望月けいさん謹製のファンアート

     

    というところが、『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』の見どころです。

    いろんな百合があっていいとは思いますが、この作品に関しては、

    きちんとお互いをリスペクトする人間関係から始まって、

    ただそのありようが百合だった、というおハナシで。

    同性愛というものが奇異なものに見えても、実は人間だれしも

    ありうるんだよということをさりげなく描いてるように思われます。

     

    その「主張」がくどくなく、また声高ではないのは、

    ガス惑星を舞台にした宇宙漁の迫力であり、

    また彼女たちを縛ろうとする社会の理不尽さのしっかりした描写で、

    背景の描き込みがハンパないからこそ、テラとダイオードがお互いを選んだことが

    すごく自然で当たり前のように感じられるのだと思います。

     

    さて、言葉を尽くしてTicoなりに書いてみましたが、いかがでしょうか。

    「百合」から入っても構いません。「SF」から入っても構いません。

    どちらの要素もしっかり書かれていて、100%と100%が掛け算されて

    10000%の面白さがある珠玉の作品です。

     

    気になった方はぜひお読みになられてはいかがでしょうか?

    なるほど、「ガス惑星巨大ロケット漁業百合」の看板に偽りなしです。

    「ガス雲を背景に宇宙船を駆る乙女二人」というだけで最高に画になっておりますヨ!

    コメント
    コメントする








     
    Calendar
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930    
    << June 2020 >>
    Selected Entries
    Categories
    Archives
    Recent Comment
    • 鹵獲! 鹵獲!
      Cattail (03/21)
    • 艦これファンジンSS vol.7 「アイドルと最古参のギグ」
      Tico (02/08)
    • 艦これファンジンSS vol.7 「アイドルと最古参のギグ」
      Lumina (02/08)
    • 艦これ クリスマスシーズン!
      Tico (01/11)
    • 艦これ クリスマスシーズン!
      Lumina (12/20)
    • 艦これファンジンSS vol.6「デライト・ティーパーティ」
      Tico (12/01)
    • 艦これファンジンSS vol.6「デライト・ティーパーティ」
      Lumina (12/01)
    • 艦これファンジンSS vol.5 「記憶を抱きしめて」
      Tico (10/26)
    • 艦これファンジンSS vol.5 「記憶を抱きしめて」
      Lumina (10/26)
    • 艦これファンジンSS vol.4 「命短し恋せよ艦娘」
      Tico (10/01)
    Recent Trackback
    Recommend
    吉田の日々赤裸々。3 ゲームデザイナー兼取締役の頭の中
    吉田の日々赤裸々。3 ゲームデザイナー兼取締役の頭の中 (JUGEMレビュー »)
    吉田直樹
    FF14の吉田PDの雑感コラム、最終巻! ゲームの裏側、仕事の作法、企画の考え方、そしてゲーム屋さんとしての生きざまなど、今回もうならせる内容です。
    Recommend
    吉田の日々赤裸々。2 プロデューサー兼ディレクターの頭の中
    吉田の日々赤裸々。2 プロデューサー兼ディレクターの頭の中 (JUGEMレビュー »)
    吉田直樹
    FF14のPにしてDである吉田直樹氏が四方山話を語る連載コラム! 開発の裏側から仕事のやり方、ゲーム業界への意見など、その話題は実にワイド!
    Recommend
    吉田の日々赤裸々。 『ファイナルファンタジーXIV』はなぜ新生できたのか
    吉田の日々赤裸々。 『ファイナルファンタジーXIV』はなぜ新生できたのか (JUGEMレビュー »)
    吉田直樹
    FF14を文字通り「建て直した」プロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏の連載コラム! FF14新生の裏側がこれ一冊でよくわかる?
    Recommend
    Recommend
    Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV Orchestral Album【映像付サントラ/Blu-ray Disc Music】
    Eorzean Symphony: FINAL FANTASY XIV Orchestral Album【映像付サントラ/Blu-ray Disc Music】 (JUGEMレビュー »)
    ゲーム・ミュージック
    FF14を彩る珠玉のBGM、そのオーケストラコンサートの様子を収録の一本! あの思い出の曲が大迫力でよみがえる!
    Recommend
    ハヴ・ア・グレイト・サンデー(1) (モーニング KC)
    ハヴ・ア・グレイト・サンデー(1) (モーニング KC) (JUGEMレビュー »)
    オノ・ナツメ
    「ACCA13区監察課」のオノ・ナツメが送る、日常系ゆるやかストーリー。初老の作家と彼の息子、そして娘婿が織りなす、たのしい日曜日の過ごし方。
    Links
    Profile
    Search this site.
    Others
    Mobile
    qrcode
    Powered by
    30days Album
    無料ブログ作成サービス JUGEM