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2008.03.20 Thursday

マキアヴェッリ語録

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    マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)
    マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)
    塩野 七生

    塩野七生女史といえば、『ローマ人の物語』を書き上げた歴史作家として
    つとに有名でありますが、その人がマキアヴェッリの著作から
    いくつもの文章を抜粋して紹介したのが本書。

    なぜ抜粋という形を取ったのかという疑問に対して、
    著者は「註というわずらわしいものを取り去って
    エッセンスと醍醐味を味わってほしいと思った」と書いています。

    マキアヴェッリといえば、
    なにやら権謀術数の固まりの代名詞みたいに考えられていて、
    実際、彼の言葉の中には「結果さえよければ手段は常に正当化される」
    とかいう一文があって、これでずいぶんと誤解されているように思います。

    本書を通読してみると、そこにあるのは物事の本質を見抜く眼。
    そこに何かしら忌まわしいもの、醜いものが見えるとしたら、
    徹底したリアリズムがそのように感じさせているのでしょう。
    舌触りのよい言葉ではなく、ぽんと投げ出された現実世界の
    非情さ、救いようのなさ、に嫌悪感を抱いてしまうのです。

    読んでいてうならされる名言が粒揃いでしたが、
    なにやら現代日本にあてはめると痛い言葉がずらずら並んでいて、
    思わず苦笑してしまうことしきり。時代を越えて通じる言葉を
    持っているという点において、やはり正しく古典なのだなと思いました。

    ちなみにTicoが一番気に入ったのは、語録の最後に載っているこの言葉。

    「天国へ行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである」

    さて、地獄行きのガイドブックを持っている人は何人いるのでしょうか。
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    塩野七生著・「マキアヴェッリ語録」読了。
    {/down/}クリックするとプロフィールの他、色々な情報が見られるよ。{/onpu/} マキャヴェッリ(Niccolò Machiavelli, 1469〜1527)は、イタリア、ルネサンス期の政治思想家である。代表作に、『君主論』、『ティトゥス・リウィウスの最初の十巻についての論考』
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